ボーダーライン。Neo【上】
「高かったんじゃない?」

「いや全然?」

 檜はケロリと(うそぶ)いた。

「うそぉ。だって本場でもあの金額だったから円にすると……」

 ーーヤバい、軽く十万は越える。

「いーんだよ。値段なんて」

 檜はあたしの手からネックレスを奪い取り、小さな金具を外した。首にチェーンを回し、金具を留めてくれる。鎖骨の上で向日葵が揺れた。

「だって」

 あたしは堪らずに、彼を見つめた。

「これの為にバイト。してたんでしょ?」

 あたしの言葉を受け、檜の顔がカッと赤くなる。彼は口を結び、ガシガシと頭を掻いた。

「あのな。そーいうのは言わなくていいから」

「ごめん」

 そうだよね、ここは彼の頑張りを立てて、察するところなんだよね。そう思うものの、赤くなった檜が愛おしくてあたしはジッと彼を見つめていた。

「それとも。嬉しくない?」

「そんな事っ」

 ーー無い無い、絶対に無い!

「すごく嬉しいよ?」

「ならいーじゃん」

 そう言って穏やかな笑みを向けられるので、あたしはありがとう、と言って抱きついた。

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