ボーダーライン。Neo【上】
 檜に自分の気持ちを伝える前までは、もうこれ以上、彼を好きになる気持ちは増えないと思っていた。けれど、どうだろう。

 交際を始め、檜の彼女になると檜の性格を知り、愛情深さをより感じるようになった。

 あたしは自分でも制御出来ないほど、彼にのめり込み、夢中になった。

 檜を愛すれば愛するほど、愛されれば愛されるほど、独占欲は増し、ちょっとした事でヤキモチを妬くようになった。

 付き合い始めの一ヶ月は良かった。丁度冬休みで時間も有り、毎日を部屋で過ごし、ベッドではピッタリと抱き合って眠った。

 けれど、檜の音楽活動が軌道に乗り始めると、当然のように逢えない日々が続き、あたしは寂しさを募らせた。

 逢えると思っていた週末。音楽活動を理由に断られ、平日はバイトが忙しいからと断られ、学校では教師の顔で挨拶をするのみ。

 自宅で彼と写ったツーショット写真を見ながら、あたしは涙に暮れた。

 あたしはきっと病気なんだ。彼氏依存症、とかそういうヤバい病気。

 檜が側にいないと、寂しくてたまらない。逢えないのが堪らなく辛い。

 依存症が悪化し、あたしはつい彼に言ってしまった。

 逢えない不満を言葉にして、檜にぶつけてしまった。

「何でそんなにバイト入れるの?」

「……え?」
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