ボーダーライン。Neo【上】
「でも目的は稼ぐ事だし。正直、幸子以外の女に俺は興味がない。分かる??」

 あたしは渋々頷いた。自意識過剰かもしれないが、今のところ、逢っていればちゃんと彼からの愛情は感じられる。

「俺の都合で忙しくしてたのは悪かったよ。幸子が嫌なら今後バイトだって減らして貰うし。前みたいにもっと会える様にするから」

 そんなのまるで。あたしが我儘を言っているみたい。

 あたしは不貞腐れていた。きっと、もっと安心感が欲しかったんだと思う。

 だって好きなら、どんなに忙しくても逢う時間を作ってくれるはず。そうでしょう?

 逢えない事に、あたしはただ不満を募らせていたが。

 彼は彼なりにあたしの事を想って頑張ってくれていた。

 バイトも音楽活動も。どちらも愛情を示す為に必要だったのだと、あたしは二六の誕生日を迎えて理解した。

 誕生日の前日。

 檜の夢にとって、とても大切なライブが行われた。

 恋人でも、教師である立場から観に行く事は出来ないと最初から諦めていたライブだ。

 しかしながら、ふとしたきっかけで、同僚の斉藤(さいとう) 里沙(りさ)先生と一緒に行く事になった。

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