ボーダーライン。Neo【上】
斉藤先生は、三年生になった檜の担任教師だ。生徒一人一人に熱心に向き合い、教え子達からは熱血教師と言われている。
四月、斉藤先生が担任に就いた頃は、檜もその熱血ぶりを苦手としていたが。
繰り返し、進路指導などの話をする内に少しずつ打ち解けていき、音楽ライブに彼女を呼んだみたいだった。
そして、偶然職員室の前で話していた彼らと鉢合わせをしたあたしは、どうせなら桜庭先生も一緒に行けばいーじゃん、的な流れで、観に行けるようになった。
勿論、あたしはいつものヤキモチから面白くない気分で了承したわけだけど。
当日、来れて良かったと心から思った。
檜が紡ぐバラードにあたしは胸を打たれた。
あたし達の事を歌詞にしたラブソングだと、聴いて直ぐに分かった。
唇が震え、感情が高ぶる。
ライブ会場で登壇した彼は、キラキラと眩しくて、その歌声には魂が震えるのを感じた。
本当に歌が好きで、バラードを奏でる声は情緒的で。ああ、だから檜は歌手になりたいんだな、とその時初めて理解した。
涙で霞む視界を何度も指先で拭い、あたしは愛しい彼を只々見つめていた。
その日の深夜。十二時を回り、あたしは二十六歳の誕生日を迎えた。
時間を見計らって部屋へ来てくれた檜に、誕生日を祝って貰った。
檜からは指輪をプレゼントされた。
逢えない時間、バイトに精を出していた結果がその指輪だった。
四月、斉藤先生が担任に就いた頃は、檜もその熱血ぶりを苦手としていたが。
繰り返し、進路指導などの話をする内に少しずつ打ち解けていき、音楽ライブに彼女を呼んだみたいだった。
そして、偶然職員室の前で話していた彼らと鉢合わせをしたあたしは、どうせなら桜庭先生も一緒に行けばいーじゃん、的な流れで、観に行けるようになった。
勿論、あたしはいつものヤキモチから面白くない気分で了承したわけだけど。
当日、来れて良かったと心から思った。
檜が紡ぐバラードにあたしは胸を打たれた。
あたし達の事を歌詞にしたラブソングだと、聴いて直ぐに分かった。
唇が震え、感情が高ぶる。
ライブ会場で登壇した彼は、キラキラと眩しくて、その歌声には魂が震えるのを感じた。
本当に歌が好きで、バラードを奏でる声は情緒的で。ああ、だから檜は歌手になりたいんだな、とその時初めて理解した。
涙で霞む視界を何度も指先で拭い、あたしは愛しい彼を只々見つめていた。
その日の深夜。十二時を回り、あたしは二十六歳の誕生日を迎えた。
時間を見計らって部屋へ来てくれた檜に、誕生日を祝って貰った。
檜からは指輪をプレゼントされた。
逢えない時間、バイトに精を出していた結果がその指輪だった。