ボーダーライン。Neo【上】
左手の薬指にぴったりとはまった七号の華奢なリング。
よくサイズが分かったね? と訊ねると、檜は嘘か真か、お店の店員さんにあたしとよく似た背格好の人がいて、その人の手を触らせて貰ったと言う。
ーーあたし以外の女の人の手、触ったんだ。
指輪の号数を探る為とは言え、正直その答えはいただけなかったが。
あたしは素直に喜んだ。
檜にありがとう、と言い、やはり黙っているのは心苦しく、本心を語る事にした。
「檜の気持ちは勿論、充分に嬉しいんだけど。あたしはこうやって形にこだわらなくても、一緒に居てくれるだけで幸せなんだよ?」
急に真顔になった檜に、あたしは目を伏せた。
「気を……、悪くさせたらごめんなさい。
だけど檜の事だから。この為に、またバイト頑張ったんだろうなって。思っちゃって」
「……いや」
彼は切なそうに眉を寄せ、少しの間押し黙った。
そして彼の想いを滔々と語ってくれた。
檜はやはり、あたしとの年の差を気にしていた。
まだ生徒で、未成年で、子供だという枠組みに居るのが嫌で、早く大人になりたいと言った。
あたしが夏まで付き合っていた圭介の年齢が、檜より十個も上なせいもあり、檜は自分の価値を経済力で測ろうとしていた。
よくサイズが分かったね? と訊ねると、檜は嘘か真か、お店の店員さんにあたしとよく似た背格好の人がいて、その人の手を触らせて貰ったと言う。
ーーあたし以外の女の人の手、触ったんだ。
指輪の号数を探る為とは言え、正直その答えはいただけなかったが。
あたしは素直に喜んだ。
檜にありがとう、と言い、やはり黙っているのは心苦しく、本心を語る事にした。
「檜の気持ちは勿論、充分に嬉しいんだけど。あたしはこうやって形にこだわらなくても、一緒に居てくれるだけで幸せなんだよ?」
急に真顔になった檜に、あたしは目を伏せた。
「気を……、悪くさせたらごめんなさい。
だけど檜の事だから。この為に、またバイト頑張ったんだろうなって。思っちゃって」
「……いや」
彼は切なそうに眉を寄せ、少しの間押し黙った。
そして彼の想いを滔々と語ってくれた。
檜はやはり、あたしとの年の差を気にしていた。
まだ生徒で、未成年で、子供だという枠組みに居るのが嫌で、早く大人になりたいと言った。
あたしが夏まで付き合っていた圭介の年齢が、檜より十個も上なせいもあり、檜は自分の価値を経済力で測ろうとしていた。