ボーダーライン。Neo【上】

 ◇ ♂

「お疲れ様でした」

 生放送の仕事を終え、僕はスタジオを後にした。

 男性マネージャーの竹ちゃんに、明日の予定を説明されながら、メンバーと共に楽屋に向かう。

 ロッカーに入れた荷物の中から携帯を取り出し、履歴を確認すると、一通のメールが届いていた。

「明日は朝早いから、みんな遅れんなよ~? 特に檜」

「分かってるって」

 リーダーである陸(Riku)の注意を余所(よそ)に、真顔でメールの返信をする。

 楽屋を出る前に小さく欠伸を漏らし、あ、とマネージャーの竹ちゃんを見た。

「竹ちゃん、明日モーニングコール宜しく?」

 さも当然といった雰囲気で頼むと、竹ちゃんは困ったように眉を下げた。

「それは構わないけど。今から何か予定でも有るのか?」

 真っ直ぐ帰って眠れば遅れる時間でもないだろうに、と続けて言い、ため息をついている。

 先を行く陸や陽介(Yousuke)、カイ(Kai)に目をやり、僕は「ちょっと」と呟いた。

「一応コレはマネージャーとして言うけど。あんまり夜遊びばっかして、風邪なんか引くなよ? 今大事な時期なんだから」

「夜遊びって」

 竹ちゃんから目を逸らし、困ったなぁと薄く笑う。
< 28 / 269 >

この作品をシェア

pagetop