ボーダーライン。Neo【上】
浮かない表情をする、あたしの様子を知ってか知らずか、女子生徒の一人が別の話題を持ち出し、正面を指差した。
「あ、奈々。上手くいったんじゃない?」
「あはは、ホント。あんなにくっ付いちゃって。てか、お似合いだよね~」
キョトンとし、彼女達の視線に倣った。
二つの長机を隔てた向こうに、秋月くんと水城さんがいる。
うちのクラスのムードメーカー、男子代表、女子代表を名乗れる二人だ。
優しい笑みを浮かべる秋月くんに、水城さんは嬉々として抱き付いていた。
「秋月くんと、水城さん?」と無意識に言葉をもらす。
「先生知らないの? あの二人付き合ってるんだよー」
「って言っても、奈々が一方的にベタ惚れしてるんだけどね」
へぇ、と相槌をうった。
同い年の高校生カップルかぁ、と思うと何だか微笑ましい気分になる。
水城さんはクラスの中でも断トツに女子力が高く、半数以上の男子に人気のある存在だ。
綺麗に化粧を施した容貌もそうだが、喋り方や仕草が本当に可愛く、あたしも女として見習うべきだと思っていた。
容姿端麗、眉目秀麗な、あの秋月くんに並べるほど身なりに気を配り、はたから見ればお似合いのカップルと言えた。