ボーダーライン。Neo【上】
 部屋へ上げたのは日々のメールの内容が影響してか、和風のカレーライスをご馳走するためだった。

 ふとした拍子に指先が触れ合い、抱き締められるというハプニングもあった。

 異性に関心の高まる思春期だから仕方ない、と自身に言い聞かせ、彼個人への恋慕を奥へと押し込める。

 いつも浮気や二股をされる側のあたしは、男の人というものを、芯から信用できない節があった。

 それなのに、どういうわけか恋愛対象として意識し、惚れやすい所もあった。


 あの野外活動以来、一転して急に懐いてきた秋月くんだが。彼の行動にはある理由を伴っていた。

 宿泊合宿の夜。

 秋月くんはクラスの男子とお金を介した賭けを始めたらしく、その内容が"一ヶ月以内に担任教師を落とせたら数万円を獲得出来る"というけしからぬものだった。

 彼から、嘘の告白をされる前日。

 あたしは偶然にも、内田 勇介くんを筆頭にした、男子グループの会話を盗み聞きし、賭けの内容を知った。

 当然ながら‘本番’の告白は、ごめんなさい、だ。

 自分をダシにしてクラスの男子とお金を賭けていた秋月くんに、無論腹立たしさはあったが。

 既に恋愛対象として意識していたため、そのショックも大きかった。
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