ボーダーライン。Neo【上】
「……抱いてよ? この間みたいに」
やっと言ったか、としたり顔で見上げると、茜はカッと赤くなる。
僕から僅かに距離を開け、震える唇で続けた。
「……檜がっ。手に入らない存在だってのは分かってる。大事な商品として見てる伯父さんに、許されない事もっ」
確かに社長は許さないだろうな、とまた内心でごちる。
立て膝をついた所に肘を置き、僕はジッと茜の様子を観察した。
「だけどわたしはもう、それで良いの。好きだから今のまま。そばにいられるだけで」
ーーそばにいられるだけで?
「嘘だな」
「え?」
「好きだったら、全部自分のものにしたくなる」
それが人間。どれだけ綺麗事を並べても、好きであればあるほど、独占欲は増すんだ。
「そ、そうだけど」
だからと言って、茜の男になるつもりも無い僕は、やはり性格がねじ曲がっている。
「…けど?」と言って、また上目遣いで彼女の心を試してしまう。
「それが出来ないから、わたしはただ」
「ただ?」
消え入りそうな声で、茜はポツリと呟いた。
「……檜に、抱かれたいの」
僕はスッと椅子から立ち上がり、茜に向かい合うと、背をかがめ、その耳元へ囁いた。
やっと言ったか、としたり顔で見上げると、茜はカッと赤くなる。
僕から僅かに距離を開け、震える唇で続けた。
「……檜がっ。手に入らない存在だってのは分かってる。大事な商品として見てる伯父さんに、許されない事もっ」
確かに社長は許さないだろうな、とまた内心でごちる。
立て膝をついた所に肘を置き、僕はジッと茜の様子を観察した。
「だけどわたしはもう、それで良いの。好きだから今のまま。そばにいられるだけで」
ーーそばにいられるだけで?
「嘘だな」
「え?」
「好きだったら、全部自分のものにしたくなる」
それが人間。どれだけ綺麗事を並べても、好きであればあるほど、独占欲は増すんだ。
「そ、そうだけど」
だからと言って、茜の男になるつもりも無い僕は、やはり性格がねじ曲がっている。
「…けど?」と言って、また上目遣いで彼女の心を試してしまう。
「それが出来ないから、わたしはただ」
「ただ?」
消え入りそうな声で、茜はポツリと呟いた。
「……檜に、抱かれたいの」
僕はスッと椅子から立ち上がり、茜に向かい合うと、背をかがめ、その耳元へ囁いた。