ボーダーライン。Neo【上】
美波が言うには、新しいバーテンの子が入ってからまだ十日足らずらしいが、ETOILEは毎夜女性客で賑わっているらしい。
カウンターのスツールに腰を据え、黒縁眼鏡のマスターが注文を取りに来る。
美波はお酒を頼むよりも、目的のイケメンくんについて訊ねた。
「あれ? そう言えばさっきまでカウンターに居たんだけど……。あ。
ああ、いたいた」
どうやら二人してしゃがみ込んでいるらしく、座っているあたし達からは見えない。
「こら、ツーペア! 何座り込んでんだ、こっち来い」
「マスター、その子達が噂のイケメンくん?」
マスターの視線に倣い、美波がカウンターの奥を見て言った。あたしも何気なくそちらに目を向ける。
ふと気付くと、他の女性客もカウンターの奥を見て、クスクスと笑っていた。
「そうそう。二人とも桃林の三回生みたいなんだけどね。
ほら、早く来い! ツーペア!」
へぇ、大学生なんだぁ、なんて思ったのも束の間。知った顔がそこに立っていた。あたしは表情を固め、言葉を失った。
「いらっしゃいませ」
バーテンの制服を感じ良く着こなした、二組の秋月 檜と三組の秋月 カイだとすぐに分かる。
カウンターのスツールに腰を据え、黒縁眼鏡のマスターが注文を取りに来る。
美波はお酒を頼むよりも、目的のイケメンくんについて訊ねた。
「あれ? そう言えばさっきまでカウンターに居たんだけど……。あ。
ああ、いたいた」
どうやら二人してしゃがみ込んでいるらしく、座っているあたし達からは見えない。
「こら、ツーペア! 何座り込んでんだ、こっち来い」
「マスター、その子達が噂のイケメンくん?」
マスターの視線に倣い、美波がカウンターの奥を見て言った。あたしも何気なくそちらに目を向ける。
ふと気付くと、他の女性客もカウンターの奥を見て、クスクスと笑っていた。
「そうそう。二人とも桃林の三回生みたいなんだけどね。
ほら、早く来い! ツーペア!」
へぇ、大学生なんだぁ、なんて思ったのも束の間。知った顔がそこに立っていた。あたしは表情を固め、言葉を失った。
「いらっしゃいませ」
バーテンの制服を感じ良く着こなした、二組の秋月 檜と三組の秋月 カイだとすぐに分かる。