陰陽師の狂愛の鎖
私を支えてくれたのは、少しつり目の綺麗な黒髪の男性だった。カジュアルな服を着ているけど、きっと和服を着たら誰よりも似合うんだろうなって感じる。

「あの、大丈夫?」

私がボウッとしてしまったせいか、男性が困った様子で声をかけてきた。私は慌てて「ご、ごめんなさい!ありがとうございます!」と言い友達を連れて立ち去る。

「あんな人見かけたことないけど、誰なんだろう……」

私がそう言うと、「知らないの!?」と友達は驚いていた。でも私はあの男性をさっき初めて見た。

「あの人は黒鉄晴明くん。民俗学を勉強しているから、確かに私たちとは関わりないかもね。でも、女子の間では知的なイケメンって話題なんだよ!」

「へえ〜……。そうなんだ」

この時は、もう関わることはないと思っていた。



時間は流れ、放課後。難しい講義も終えて今から友達と遊びがてら資料を渡すか、と考えていたら教授に呼び止められた。

「本田くん、提出してくれたレポートのことで話があるから講義室に来てくれないか」
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