陰陽師の狂愛の鎖
「マブ……シイ……!」

霊が私の首を締めるのをやめる。私は咳き込みながらその場に倒れ込んだ。黒鉄くんは私の前に立ち、苦しみ続ける霊に向かってまた呪文を唱え始めた。

「迷える霊よ、あの世へ旅立ちたまえ……」

黒鉄くんがそう言った刹那、霊は透明になって消えていく。それを見届けた後、黒鉄くんは「本田さん、大丈夫?」と言いながら私に手を差し出してくれた。

「黒鉄くん、あなたは……」

私はその手に掴まり、ゆっくりと体を起こす。黒鉄くんはニコリと笑って言った。

「僕の先祖は陰陽師で、代々その力を受け継いでいる。僕も陰陽師だから霊を祓えるんだ」

「そうだったの……」

「それより、本田さんって霊感がめちゃくちゃ強いんでしょ?霊から襲われるくらい」

「そ、そうだね……。小さい頃から幽霊は見えるよ」

じゃあ僕が幽霊から守ってあげる、そう言って黒鉄くんは手を差し出してくれた。陰陽師の彼なら守り抜いてくれる。そう信じて、私は「よろしくお願いします」とその手を取った。
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