もう二度と叶いませんように
(早く逃げないと! 夏彦に、殺される・・・・!)
階段をバタバタと駆け下り、左に曲がると病院の出入口が見えた。
(出口だ!やっと、夏彦から逃げだせる!)
出入口から飛び出すと、突然私の体は鞠のように宙を舞った。
(え・・・・・・?)
ドンという鈍い音がして、頭に雷が落ちたかのような激痛が走った。
(何・・・?事故?)
意識が遠くなるにつれ、何故か夏彦との思い出が蘇ってくる。
辛いことじゃなくて楽しかった思い出。
(あぁ、そうか。夏彦とは楽しい思い出もあったんだ。去年の七夕、覚えてるよ。一緒に同じ願い事を書いたこと。)
なのに、何でこんなことになっちゃったんだろうな・・・・・・。
私は、涙を流し眠りにつく。
遠くで、大きな花火が打ち上がった音がした。