もう二度と叶いませんように
次の日、私は実家に戻り、夏彦のお葬式に向かった。
「あぁ、天ちゃん。」
「夏彦のお母さん・・・・・・。」
私の元に喪服姿の夏彦のお母さんが声をかけてきた。
綺麗な黒髪だった髪にわずかに白髪が増え、少しやつれた表情をしていた。
「ありがとうね。夏彦に会いに来てくれて。」
「いえ・・・・・。」
「あの子ね、男の子を助けようとして電車に撥ねられて。まぁ、その男の子は助かったんだけど・・・・・・。でも、夏彦は・・・・・・。」
嗚咽を漏らし、泣き崩れるお母さんを私はただ見ていることしか出来なかった。