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それから2日経って、一時帰宅が許される日まであと2日になった。
[ちょっと、1本吸ってもええ?]
「うん、」
これが、私にメモをくれる合図。
“9人について聞いてこいと社長に言われた。
たとえそんなこと思ってなかったとしても、今は当たり障りなく答えて欲しい。ええ?”
黙って1回頷いてみせる。
この人とちゃんと会話をしたことは無かったけど、筆談での彼はとても優しくて温かい。
何故、こんなにも手を焼いてくれるんだろう。
そんな疑問が残りつつも、今はこの人しか頼れる人が居ないから、この人を信じるしかない。
[あの男たちは、どういう人達なん?]
「…始末屋と呼ばれる人。依頼された人を始末してお金を貰うのが彼らの仕事」
[CLUBも経営してるんか?]
「…カモフラージュのために、月に3回だけ開くの」
[9人と暮らしていたらしいけど、その生活はどうやったん?]
「…別に。私が1人になったことに変わりはないから、
あの人たちがお節介焼こうが私に構おうが私は何とも思ってない」
[ふうん、そうなんや]
「何が言いたいの?」
[アイツらの実力は、誰が1番強いとかどんな特技があるとか教えて]
「…全部言ったところで、あなたは覚えられるの?」
[さあ、やってみな分からへんな]
「社長に伝えるなら、私がメモを書くからそれを渡せばいい。嘘は書かない。どう?」
[名案やな、これ使い?]
「ありがとう、」
そう言って、9人の特徴を書く。
ある情報を除いて。