monochrome
恋心編
吊り橋効果
Sora Side
それは、私の大仕事が終わったある日のこと。
紫「なぁ、そういえば直樹に助けて貰ったってあれなんだったの?」
『え…』
なんでこのタイミングで思い出すのよ…。
『別に大した話じゃないんだけどさ』
紫「え、ならいいじゃん教えてよ笑」
『...うん』
優が教えて教えてと食い下がらないので、しょうがないから全部教えた。
紫「え!!!すげぇ運命じゃん!」
『だから!そういうこと言われるから言いたくなかったんだって!』
紫「え、でも天咲もそれが直樹だってわかった時ドキドキしなかったの?」
『っ...!』
しなかった、というのは嘘になる。
でも、それは衝撃の事実を知ったからドキドキしたのであって、
私がそれで直樹に惚れてるなんてことになったら、
吊り橋効果にまんまとやられてることになる。
心理学を学ぶ人間としては、そんなことあつてはならない気がして、この気持ちをずっと封じ込めていた、のに...。
紫「へぇ、したんだ笑」
『してない!』
紫「天咲ってそういうとこ、不器用よな」
『もう!さっきから黙って聞いてりゃ言いたい放題言って!』
紫「ごめんて笑 でも本当のことでしょ?
ちょっとは意識したっしょ?直樹のこと」
『...まあ、そりゃ』
紫「可愛いじゃん」
『なんか嫌だ、違う話しよ?忘れて?ね?』
紫「だめ。天咲が直樹のことどう思ってるか確かめなきゃじゃん」
『だから...』
紫「だって、どう思ってるかわかんないんでしょ?
じゃあ調べようよ。俺ら始末屋だろ?」
『嫌な予感しかしないんだけど...』