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〈ほう、そんなことが…〉
天咲「もし、婚約者の経営する会社が再び独立してやっていけそうであれば、私の婚約がなくなるかもしれないんです。
だから今度、私の婚約者に御社の代表の方とお顔合わせする機会を、社長に取り持って頂きたくて…」
〈そんなこと、おやすい御用だよ。
そうだ、今度クルーズ船でパーティが開かれる。
それにさきさんと旦那さんも招待してもらえるよう手回ししておくよ〉
天咲「ほんとですか!嬉しい…」
〈その時にまた紹介するよ。君も旦那さんと早く別れられるといいね〉
天咲「まあ、まだ婚約者ですよ。これが上手く行けば婚約破棄されて、私も晴れて自由の身です」

天咲が、社長の耳元にぐっと顔を引き寄せ、

天咲「そしたら、社長の愛人にしていただけますか…?」

天咲は『さき』という女性を演じきった。
社長は耳を真っ赤にし、天咲はこちらを見てドヤ顔をする。
…やりすぎだよ天咲。
まあ今日のところは上手く情報を聞き出せたし、何よりクルーズ船に招待されたのは大きい。
やはり天咲は最高の戦力だ。

「さきさん、」
天咲「、!なんだ光成か」
「大収穫だね、お疲れ様」
天咲「社長、ちゃんと掛け合ってくれるかなぁ」
「まあ、愛人かかってんならちゃんとやるでしょ」
天咲「ふふ、そっか笑」
「天咲、あれはやりすぎだわ。笑
流星聞いてたらブチ切れだよ笑」
天咲「今日は流星も他の仕事してるから大丈夫だって!」

天咲が入って1ヶ月。天咲の抱える少し大きな仕事が始まりそうだ。
本敵に備えるにはいいジョブになると思う。
いよいよ、天咲の初陣が始まる。

その晩、早く仕事が終わった流星に天咲の愛人発言をこっぴどく叱られることを、この時の2人はまだ知らなかった‪。
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