キミの世界で一番嫌いな人。




……はしゃぎすぎました。


クルッと向き直った瞬間、足を踏み外してしまった私。

ポスッと受け止められたはいいものの───ベチャッ!



「………あ。」



アッキーが着ている制服のカーディガンに、ソフトクリームはしっかりと付着。

ピキッと血管が浮き出た音は頭上から。



「俺いま言ったばかりだよね?お前なんなの本当。5歳なの?」


「す、すみません…17歳です、ほんとにごめんなさい、」


「謝って済むなら警察いらなーい」



やばい、調子に乗りすぎた。
そろそろぜったい殴られる……。

周りの人々は「あらあら」と、苦笑いで通過していくし…。


廣瀬 秋斗は怒ると怖いことよ…。



「ちょいとあんたら!ほらほら寄っていきんさい!」



そんなとき、私たちの背中を叩いた1人のおばちゃん。

この光景をずっと見ていたのだろう、案内された場所は浴衣レンタル屋さんだった。



「ちょうどええやろ?制服汚れてしもてはるし、修学旅行やんなら逆に思い出になるで。安くしとくわ!」



たくさんの浴衣が飾られた店内。

するとアッキーは何かを思いついたように、不吉な笑みをこぼして言った。



「こいつには女物でお願いします」



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