キミの世界で一番嫌いな人。




……仕方ない。

「それで許す」と言われてしまえば、お安いご用だ。



「あっ、自分でやります…!」


「え?そう?素人には難しいんやない?」


「なんとかやります!実は俺っ、人の前で脱いだりできない人間で…!」


「そうなん?なら仕方ないわ、迷ったら聞いてええからね」


「ありがとうございます…!」



ふう……、なんとか自分で着付ける方向に持っていけた。


は、いいものの。

なぜか乗り気な店主はお化粧をしてくれてしまって。



「チビ、できたー?」


「…お、おう」



もちろん更衣室があったし、お化粧されてるときもカーテンで仕切られていて。

アッキーの様子もぜんぜん見えてなかったけど……。


本当に大丈夫かな、これ。

ぜったい笑われることは確実。



「ねぇアッキー、俺メイクされたうえにウィッグまで付けられちゃったんだけど…」


「え、まじで?いいじゃん。早く見せてみろって」



お祭りのときに似てるかもしれない。

長く垂れ下がった黒髪、シンプルな髪飾り。

ここまできたら女装させようと店員さんもノリノリで。



「……え、やっぱアウト…?」



姿を現せば、アッキーは目を開いて固まった。


そんなだめ……?
せめて笑ってくれたほうがいいのに。

というか爆笑される気満々だったのに…。



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