キミの世界で一番嫌いな人。




にしても、似合っちゃってる私の友達。


やっぱり普通に格好いい。
片側の髪を耳にかけちゃったりして。

いつもあまり気にしてなかったけど、ピアスしてたんだ…。



「お前さ、…夏祭りいなかった?」


「……い、いないよ?」


「いたよね?だっていま俺の目の前にいるし、その子」



やっぱりバレてた…!?!?

あれ以来とくに話題にも出なかったから、てっきり忘れてくれてると思ってたのに…!


どうしよ、なんとか誤魔化さなきゃ!!



「俺、双子の妹がいて…!たぶんそいつ、」



これなら先輩にも通ったし、なんとか乗りきれるはず。

乗りきってくれなくちゃ困る。



「背丈と声も同じって、ありえる?」



うわ…、意外とアッキーって探偵さんタイプ?

そこまで気にしなくてもいいのに。


アッキーのことだから、すぐ忘れてくれたと思ってた。

なにか気になることでもあったのかな…。



「…まぁいいや。はい、チビおいで」


「あ、うん」


「…なんでうしろ?隣こないの?」


「え…、いや、気持ち悪いかなって…、」


「別に大丈夫だけど。いまのお前は“女の子”だから」



そんな私たちを、ずっとつけていた男がいることなんて。

このときの私は気づいてもいなかった。



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