キミの世界で一番嫌いな人。




「あっ、あの!」



そんなとき、ひとつの女の子の声に急ブレーキ。

早く教室に行かなきゃアッキーにぶーぶー言われてしまうのに。

呼ばれてしまったなら立ち止まるしかない。


それに、この子って……。



「な、夏実ちゃん…?」


「覚えててくれたんですか…?私も覚えてました。…青葉くん」



青葉くんだなんて、なんかこっ恥ずかしい。

でもそんなのに照れてたら、またチェリーだ何だと馬鹿にされそうだから、顔をきゅっと戻した。



「この前の合コンはごめん!俺、あーいうの苦手でさ…」


「いえ、私も無理やり連れられただけなので…」



この場に似つかない清楚なワンピースを着た夏実ちゃん。

メガネをかけていて大人しい感じの子だったから、あのときの合コンではいちばん仲良くなれそうだなぁって思ってた。


……台無しにしたのはもちろん私なんだけども。



「夏実ちゃんも文化祭きてくれたんだね!どうしたの?迷子にでもなった?」


「…その、…藤城さんのクラスはどこかなって…」



もじもじと顔を赤らめて、チラチラ視線を泳がせている。

先輩のクラスは確か西棟の3階だから、少し分かりにくい。



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