キミの世界で一番嫌いな人。




「あーあ、着替えなきゃ…」



飲み物を持っていたクラスメイトとぶつかってしまい、ビショビショだ。

ベストだけで済んだかな?と確認すれば、中のシャツにまでしっかりと染みてしまってる。



「アッキー、予備の衣装ってまだある?」



もし無かったら制服に着替えよう。

そうすれば気づかれないまま模擬店を回れそうだし、ある意味サボれる。


にっしっしっと笑みがこぼれた私に、それ以上の笑みをしたそいつは「あるよ」と悪戯に笑った。



「さっきの貸しもあるからね俺。あとお前には散々いろいろとね」



その“いろいろ”はそれだ、そういうことだ。

つまりは何をされても反論する権利は私には無い、と。


アッキーは瞳で語ってきた。



「こんなので教室もどれるわけないだろっ!」


「いやー、久しぶりだね。元気してた?」


「もうアッキー!お前ほんとそーいうとこだよ!!」


「女の子が“お前”とか言わなーい」



着替えを渡されて、人があまり居ない隠れた場所にある男子トイレへ向かったはいいものの。



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