キミの世界で一番嫌いな人。
またこれだ……。
なんでいつも私の周りには黒髪ロングのウィッグがあるの?
誰かスタンバってるの?
チェック柄をしたワンピースに長い髪。
靴やバッグまで揃えてある。
そんな姿にされてしまった私。
「じゃ、焼きそば食べ行こ。俺たちは休憩入るって伝えてあるから」
「俺こんな姿じゃ無理だよ!」
「俺とか言わないのー。バレないバレない」
適当に流されまくって断れるわけもなく、校舎前に広がる屋台にて、たこ焼きと焼きそばを購入。
私の奢りのはずが、どういうわけかアッキーは奢ってくれてしまって。
グラウンドのステージ前、並べられたテーブルに腰かける。
「なかなか似合ってるじゃん。サイズぴったりで良かったよ」
……どういうつもりなんだ、この男は。
私を男として見てくれるんじゃないの。
見なかったことにしてくれるんじゃないの。
「…お前やっぱ夏祭りの子だよね?なに、あのときも“女装”してたの?」
「…たまたまおばあちゃんが浴衣姿見たいって言うから、」
違和感が無いように会話を続けてくれる。
ふて腐れながらも、焼きそばを口に運んだ。
うん、思ったより美味しい。
でも少しソースが薄いような気もするけど。