キミの世界で一番嫌いな人。




またこれだ……。

なんでいつも私の周りには黒髪ロングのウィッグがあるの?

誰かスタンバってるの?


チェック柄をしたワンピースに長い髪。
靴やバッグまで揃えてある。

そんな姿にされてしまった私。



「じゃ、焼きそば食べ行こ。俺たちは休憩入るって伝えてあるから」


「俺こんな姿じゃ無理だよ!」


「俺とか言わないのー。バレないバレない」



適当に流されまくって断れるわけもなく、校舎前に広がる屋台にて、たこ焼きと焼きそばを購入。

私の奢りのはずが、どういうわけかアッキーは奢ってくれてしまって。


グラウンドのステージ前、並べられたテーブルに腰かける。



「なかなか似合ってるじゃん。サイズぴったりで良かったよ」



……どういうつもりなんだ、この男は。

私を男として見てくれるんじゃないの。
見なかったことにしてくれるんじゃないの。



「…お前やっぱ夏祭りの子だよね?なに、あのときも“女装”してたの?」


「…たまたまおばあちゃんが浴衣姿見たいって言うから、」



違和感が無いように会話を続けてくれる。

ふて腐れながらも、焼きそばを口に運んだ。


うん、思ったより美味しい。
でも少しソースが薄いような気もするけど。



< 127 / 340 >

この作品をシェア

pagetop