キミの世界で一番嫌いな人。




「びっくりしたよ。髪長いチビじゃんって」


「…ここに来る前は本当にこれくらい伸ばしてたんだよ」



少し声のトーンを落として、こっそり伝えた。


もうアッキーには隠す必要はない。

その上でもこうして友達でいてくれることが何よりも嬉しいから。



「…へえ、切ったんだ?わざわざここに来るために」


「…うん」


「それは何のために?…誰のために?」



核心を突いてくる質問に、思わず目を逸らしてしまった。


言えるわけない。

…言えないこともないけど、それでもわざわざ言うまでもない。

これは私の問題なのだから。



「普通に考えたら、何かなきゃそこまでしてわざわざこんなとこ来ないでしょ」


「…それなりの理由は…ある…、」


「けど言えないと。俺がトモダチだとしても?」


「……ごめんアッキー」



するとアッキーは私が持っていた割り箸を奪って、焼きそばを食べ始めた。

まぁ確かに1つしかもらえなかったし…。



「…味うっす」


「だよねっ、俺も思った!」


「……俺じゃなくて私、ね」



でも私たちは男友達だから、そんなもの気にしない。



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