キミの世界で一番嫌いな人。




「あ、藤城サンだ」



と、アッキーが見つめた先に、男女ふたりが文化祭を回っているようだった。

そこには先輩と夏実ちゃんの姿が。



「っ…!!」


「チビ?」



咄嗟にもガタッと席を立ち上がってしまった。


ヤバいヤバいヤバい…!!
この姿は2度と見せちゃだめなのに!!

だから嫌だったのに…!



「ちょっと、どこ行くの?まだ食べ終わってないんだけど」


「と、トイレ…っ!お腹の調子が悪くて…!!」


「粗か様すぎでしょ。それなら安静にしといたほうがいいって」



ああもうっ、どうしてこーいうときに限って察しが悪いのアッキーは!!


腕は掴まれてしまったし、逃れられないし。

無理やり離れようとしても男の力には無謀だし。



「お腹痛いんだって…!焼きそばが当たった…!」


「俺がさすってあげるよ」



わちゃわちゃ騒ぐ私たちがいれば、その2人だって気づいてしまう。

案の定、先輩はこちらへと歩いてきた。



「アッキーお願い離してっ!これだけは本当に…!わあ…っ、ほら来てる…!」


「…なに、藤城サンに見られたら駄目な理由でもあるの?」


「あるのっ!!!」


「だったらなおさら離すわけにはいかないね」



なんでそーなんの!!

本当にアッキーの考えてることはわからない。



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