キミの世界で一番嫌いな人。
「そっくりだよねぇ。俺、最初チビが女装してんのかなって思った」
呑気に笑うアッキーは、先輩の背中に隠れていた夏実ちゃんを見つけた。
あれ?と、言って。
「合コンのときのメガネちゃんだ」
「…こんにちは」
「ちょうどいいし4人で食べない?」
食べない!!
それじゃあさよーならっ!!
って駆け出そうとしても、肩に回された腕にぐっと力がこもるわけでして。
「…わ、わかりました。アッキ…秋斗くん」
「ん、どこかのチビと違って聞き分けが良くて助かるよ」
……もう駄目だ。
でも先輩と2人きりじゃないことだけは、助かった。
「藤城さん、クッキー焼いて来たんです」
夏実ちゃんは持参だというお弁当を出して水筒を出して、とうとうクッキーまで。
ステージから離れた4人席に座った私たち。
ステージでのダンス発表やバンド演奏の音がふわっと耳に届いてくる。
「お味はどうですか…?」
「…普通にうまい」
「良かったですっ!」
そんな目の前の華やかな2人を見つめるだけ。
先輩、夏実ちゃん。
向かい合うようにアッキーと私。
こう見れば、文化祭を一緒に回ってる2組のカップルに見えなくもない。