キミの世界で一番嫌いな人。




「そっくりだよねぇ。俺、最初チビが女装してんのかなって思った」



呑気に笑うアッキーは、先輩の背中に隠れていた夏実ちゃんを見つけた。

あれ?と、言って。



「合コンのときのメガネちゃんだ」


「…こんにちは」


「ちょうどいいし4人で食べない?」



食べない!!
それじゃあさよーならっ!!

って駆け出そうとしても、肩に回された腕にぐっと力がこもるわけでして。



「…わ、わかりました。アッキ…秋斗くん」


「ん、どこかのチビと違って聞き分けが良くて助かるよ」



……もう駄目だ。

でも先輩と2人きりじゃないことだけは、助かった。



「藤城さん、クッキー焼いて来たんです」



夏実ちゃんは持参だというお弁当を出して水筒を出して、とうとうクッキーまで。


ステージから離れた4人席に座った私たち。

ステージでのダンス発表やバンド演奏の音がふわっと耳に届いてくる。



「お味はどうですか…?」


「…普通にうまい」


「良かったですっ!」



そんな目の前の華やかな2人を見つめるだけ。


先輩、夏実ちゃん。
向かい合うようにアッキーと私。

こう見れば、文化祭を一緒に回ってる2組のカップルに見えなくもない。



< 131 / 340 >

この作品をシェア

pagetop