キミの世界で一番嫌いな人。
「チビ、…じゃなかった妹ちゃん。こっち向いて」
「……」
とりあえずは無視。
ぜったいまた余計なことするに決まってるから。
「へえ、偉くなったね。いいの?あっそう」
「…なに───んぐっ!」
「あははっ、アホ面」
口に突っ込まれた、たこ焼きがふたつ。
「美味しい?まずはやっぱり毒味させなきゃね」
このサディストはどうにかならないの…。
モグモグモグ………、
これ、タコ入ってない…。
さすが湊川高校。
「妹ちゃんは料理とかしないの?俺にクッキー焼いてきてくれてもいいよ?」
「お菓子は作れないけど…お料理はします。一応これでも毎日自炊してるので」
「じゃあ今度食べに行ってもいい?」
「…普通の家庭料理くらいしか作れませんけど」
なに、妹ちゃんって。
だったらチビって言ってくれたほうが落ちつくけれど、チビって言われたらソッコーバレる。
それでもバレないように会話を進めてくれるアッキーには感謝した。
「…幼稚園児みたいな弁当、兄貴に持たせてたくらいだしな」
「え…、」
「男子校に通う17歳にタコさんウインナーは笑ったわ」
ふっと思い出すように笑って、夏実ちゃんから用意された飲み物ではなく。
自分で買ったんだろうペットボトルの蓋を開けながら一瞬だけ私を見つめた先輩。