キミの世界で一番嫌いな人。
「あ、兄の好物なんです…!」
「別にいいんじゃねぇの。兄妹仲良くやってれば」
なんか今日の先輩、ちょっとだけ機嫌悪い…?
そりゃあ大嫌いな女が目の前にいて楽しそうに会話してれば、そう思うのは普通だよね…。
「なに、妹ちゃん。寒いの?」
さっきからそわそわしている私に気づいたらしいアッキー。
だってこのワンピース、スカートの丈が短い…。
ずっとズボンだったからスースーして落ち着かないし…。
「大丈夫、です。こういうのあまり着ないから慣れないだけで、」
「…そういえばさっき、お腹痛いって言ってたっけ」
パサッと、肩に何かが掛けられた。
それはアッキーがずっと羽織っていた尾ひれのついた長いジャケット。
「え、…ありがとう…ございまーす…、」
ちょっとだけ照れくさい。
「羽織ってな」と、それだけ言って会話を戻したアッキー。
「それにしても藤城サンがオンナとつるむなんて珍しい。彼女?」
「なんでそうなるんだよ」
「だって彼女はその気っぽいし」
え…、そうなの…?
確かに今も顔が赤いし、そのお弁当だって1人分だ。
先輩のために作ってきたんだろうなって、誰が見てもわかる。
「付き合っちゃえば?」