キミの世界で一番嫌いな人。




そんな私を前にきょとん顔を見せたアッキーは、つぎに盛大に吹き出した。

腹を抱えるようにして、まるで糸が切れたみたいに。



「あははははっ!!!お前ほんとそーいうとこだって…っ、ヤバい、ははははっ!」



え、そんなに面白かった…?
言われた通りにしただけなのに。

それにしてもアッキーがここまで爆笑する姿なんか初めて見た。


アッキーって、こうやって普通に笑える人だったんだ…。



「お前と居るとほんと、調子狂う」


「ご、ごめん。狂わせてるつもりはないんだけど…」


「ふっ、…ほんと、そーいうとこ」



アッキーの言う「そーいうとこ」って、どーいうとこなのか全然わからない。

でも悪い意味じゃないような気がする。


ポンポンと頭を叩いてくれる手は、どこか安心もして。

さっきジャケットを掛けてくれたときも。



「退屈しないよ。今まででいちばん面白いかもしんない」



たぶん友達ってこういうものなんだと思う。

どんなに泣いたって、弱音を吐いたって。

いつだって友達として接してくれる。
いつだって友達でいてくれる。



「アッキー、ハンカチ無いからこのジャケットで拭いていい…?」



なんて、冗談。

「殺すよ」って返ってくるの、知ってる。


逆に今はその言葉が欲しかっただけ。



「───…いいよ。」


「…え、」



想像とは真逆の返答だった。

今日のアッキー、やっぱりどこか変だ。


でも友達以上の親友ってやつになりたいなぁ…なんて。



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