キミの世界で一番嫌いな人。
「俺っ、着替えてくる!確か男子トイレに着替え置いたままだろ?」
「くれぐれもバレるなよ」
「もちろん!」
羽織っていたジャケットを返して、クルッと背中を向ける。
……あ、そういえば。
「この服の一式って誰の…?俺にサイズぴったりだし…アッキーの彼女とか?」
「…彼女なんかいないよ」
「…?よくわかんないけど、その子にありがとうって伝えといて!」
このあとは後夜祭があるんだっけ。
花火も上がるんだよね。
気づけばグラウンドはそんなムードになってるし、早く着替えないと。
「これ洗濯して明後日くらいには返すか───」
パシッ───!
「きゃ…っ」
あ、やばい、女みたいな声が出た…。
だって急に腕つかんでくるからびっくりして…!
「…結局さぁ、男にはなれないんだよチビ」
「な、なるよっ!俺もう今みたいなこと言わないから…!」
「だってお前、藤城サンのこと好きじゃん」
「───…え…?」
ピタリと、止まった。
頭が真っ白になって、外の音も聞こえなくなって。
好き……?
私が、先輩を……?