キミの世界で一番嫌いな人。
「でも“女の”お前は藤城サンに嫌われてるから、男としてでも傍にいたいってことだろ?」
やっぱりこの人は察しがいい。
すごく頭がいい人なんだと思う。
よく回るし、周りをよく見てる。
いい友達だなぁって思うけど、今はそれが厄介。
「隠し通せるの?本当に。恋人にはなれないよ?気持ち伝えることすらできないよ?」
「…うん」
「男にしか見られないんだよ。それっていちばんキツい選択なんじゃないの」
確かにそうかもしれない。
今だってキツい。
合コンのときだって、さっきだって。
私は男にしか見られてないから、あの人は平気で他の女の子と関わって。
もちろん先輩は女の私のことが大嫌いだから、私の願いが叶うことは一生かけたって無い。
「それにもし藤城サンに全部がバレたとき。…今よりもっと辛い結果にしかならないと思うけど」
うん、わかってる。
そんなこと最初から分かってここに来た。
「…それでもいい。だってそれが私の罪滅ぼしだから。私だけ幸せになんか、なっちゃだめだもん」
なれないよ、私だけ幸せになんて。
このワンピースもシャツ型で良かった。
もし胸元が空いてたら、もっと彼を苦しめてた。