キミの世界で一番嫌いな人。




「でも“女の”お前は藤城サンに嫌われてるから、男としてでも傍にいたいってことだろ?」



やっぱりこの人は察しがいい。

すごく頭がいい人なんだと思う。
よく回るし、周りをよく見てる。


いい友達だなぁって思うけど、今はそれが厄介。



「隠し通せるの?本当に。恋人にはなれないよ?気持ち伝えることすらできないよ?」


「…うん」


「男にしか見られないんだよ。それっていちばんキツい選択なんじゃないの」



確かにそうかもしれない。


今だってキツい。
合コンのときだって、さっきだって。

私は男にしか見られてないから、あの人は平気で他の女の子と関わって。


もちろん先輩は女の私のことが大嫌いだから、私の願いが叶うことは一生かけたって無い。



「それにもし藤城サンに全部がバレたとき。…今よりもっと辛い結果にしかならないと思うけど」



うん、わかってる。

そんなこと最初から分かってここに来た。



「…それでもいい。だってそれが私の罪滅ぼしだから。私だけ幸せになんか、なっちゃだめだもん」



なれないよ、私だけ幸せになんて。


このワンピースもシャツ型で良かった。

もし胸元が空いてたら、もっと彼を苦しめてた。



< 140 / 340 >

この作品をシェア

pagetop