キミの世界で一番嫌いな人。
「わたし……俺は、先輩が卒業するまで見守るって決めたんだ。あの人が少しでも笑ってくれるなら…それでいい。
少しでも楽しいって思ってくれるなら、それでいい」
それしかできない、それしかしちゃだめ。
だとしても私はそれすらもできてない。
本当に、なにやってんだろう…。
「まぁ、お前みたいな熱血馬鹿に心動かされた奴はたぶん1人じゃないからさ。…頑張りなよ」
優しく腕を離してくれると、私が着ているワンピースを指差した。
「それ、お前にあげる。そもそも俺が女に何か買ってやること自体が奇跡だから。大事にしないと殺すよ」
どうしてウィッグまで揃っていたんだろう、とか。
この色は京都で着たときの浴衣に似ていたから。
私がこれがいいって選んだ、浴衣の色に。
だから靴やバッグまでセットで用意されていたんだ。
「アッキぃ…っ、」
「だからいちいち泣くなって。男だろ」
「おう…っ!アッキーまじで俺の心の友…!」
「どこのガキ大将?まって、俺が落ちこぼれ眼鏡くんの立ち位置なの?逆だろ」
だけどこれが、私の高校生活に大きな亀裂を生み出すことになるなんて。
そんなの誰ひとり思っていなかった。
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