キミの世界で一番嫌いな人。
そもそも肝心の兄貴はずっと不在みたいだし。
どこに居るんだよ、あいつ。
昼間俺のクラスに来たとき以来見てない。
お前のクラスの執事喫茶にでも行こうかと思っていたのに。
それに、この双子が揃うところも見たかった。
「…お前、廣瀬と付き合ってんのか」
「ちっ、違いますっ」
「じゃあ好きなのか」
「それも違います…!」
ならなんでずっと一緒に行動してんだよ。
お前がここに来る理由なんか、兄貴かそいつくらいしか無いだろ。
俺の前には金輪際現れるなと言ってたくらいなんだから。
それを押しきってまで来るってことは。
「…そんなに走って大丈夫なのか」
どこかへ必死に向かおうとしていた。
もう心臓は大丈夫なのか、生憎おまえのせいで俺は走れなくなった。
でも今はそんなことを言って責めたいわけじゃなくて。
「…大丈夫です。…でも、ごめんなさい」
泣いた、のか…?
頬に涙の跡があるし、目も充血している。
だから走ってたのか?
なんで俺がここまで気にしてるのかも分からない。
こいつのことなんか大嫌いなのに。