キミの世界で一番嫌いな人。




「ふざけんな意味わかんねぇ」


「え?だってこうして欲しかったんでしょ?」


「…もういい」



それすら拒否して、ぷいっとソファーへ戻ってしまった。


え、全然わからない…。
あの人は一体なにがしたかったの…?

新しいスプーンを出させて洗い物を増やさせるっていう、小さな小さな嫌がらせ…?



「おー、結構おいしいじゃん」


「…私の修正がなかったらガッチガチでしたけど」


「女の子がガッチガチとか言わなーい」



囲んで食べる、クリームパスタ。

スープと、アッキーが手で千切れるものを寄り合わせたサラダ付き。



「なっ…!バカじゃないですかっ!」


「え?なに?ナニを想像しちゃったの?」


「もう食べるな───…食べなくていいですっ!」


「やだよ美味しいもん」



ほとんど私とアッキーがぎゃあぎゃあ騒いでるだけだ。

女に戻ればすぐにからかってくるのだ、この男は。


それにいろんな都合上、敬語を使わなきゃいけないし。

ほんっとーに面倒だ…。



「てか、なんで藤城サンまで来たの?わざわざ彼女を俺たちに自慢しに来なくてもいいのに」


「そんなんじゃねぇっつってんだろ。…あいつが留守してんなら、尚更おまえと2人は危ねぇだろ」


「あぁ、俺が妹ちゃんに手を出すんじゃないかって?」


「……いちいち言わなくていい」



私もまさか先輩と夏実ちゃんまで来るとは思ってなかった。

アッキーだけなら、男の姿で隠さず出迎えていたと言うのに。



「それにしても、かなり大きいマンションだねぇ。ここ何階?」


「15階です」


「うわ、高所恐怖症の俺はぜったい無理だよ」


「意外と小心者…」


「…へえ。言ってくれるね」



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