キミの世界で一番嫌いな人。
今は俺とお前はトモダチだからね───と、アッキーはニッと白い歯を見せた。
また溢れそうになった涙をぐっとこらえる。
泣き虫はもう卒業、泣いてちゃだめ。
戦わなきゃ。
これも覚悟の上で男になったんだから。
「俺っ、頑張るよ…!!ぜったい先輩が卒業するまでは耐えてみせる…!」
「…そのあともいればいいじゃん」
「…え?」
そのあとは湊川から姿を消すつもりだった。
たぶん、最初予定していた女子校に行くことになると思う。
「…いればいいだろ。だって俺、お前がいないと学校つまんないし」
もし居てもいいなら、私はそのままずっと湊川に居たい。
あのどうしようもない不良だらけの場所でも、こうして親友とも呼べる友達ができたから。
アッキーと一緒に卒業したい。
「…ありがと、アッキー」
「ぜったい俺から離れないことね。近くに居れば守ってやれる」
「俺だって男だ。守られてばっかじゃ嫌だよ」
どうなるのかな、これから。
私、がんばれるかな…。
いや、頑張らなきゃ。
「なら頑張れ。男なら、くだらない虐めなんかで逃げるなよ」
「おうっ!!」
運命の時計は、こうして動き出した。