キミの世界で一番嫌いな人。




ごめん先輩。
もう伝わっちゃってる。

ニヤケてしまいそうな頬を引き締めて、立ち上がって気合いを入れた。


と、同時に昼休み終了のチャイム。



「うっし!!行くかアッキー!!先輩もありがとうございましたっ」


「このあとバスケだけど、お前たぶんボール当てられるからね」


「気をつけろよ。できるだけ廣瀬の傍にいろ」



そうだ、バスケだった…。

座学より実技のほうが過酷なのだ。



「あ~!わりーわりー、女か男かわかんねぇから手加減できねぇわ」


「大丈夫~?あおばちゃ~ん」



男の投げたボールが私のお腹にクリーンヒット。

パスってレベルの力加減じゃない。

こんなの、ただのドッチボールだ。



「お前らさぁ、ほんと懲りないね。そんなに俺に殺されたい?」


「大丈夫だよアッキー…、平気、」



出ていこうとするアッキーを止める。


クラスメイトたちは怯えながらも、「ただバスケやってただけじゃねぇか」と言われてしまえば。

確かにパスをされただけ。

たまたま強くて、それを私がキャッチできなかっただけ。



「チビ、…少し我慢して」


「え、───うっ…!!」



私を立ち上がらせながら囁いたアッキーのこぶしが、少しかすれるように手加減されながらもお腹に入る。

だとしても私には十分な攻撃となって。



「もし女だったら今ので確実に吐いて死んでたね。お前は一応は男ってことだ」



そう、これは彼なりの守り方。

わかってる……、
でもやっぱちょっと痛いってアッキー…。


がんばれ青葉、めげるな青葉。



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