キミの世界で一番嫌いな人。




まさかアッキーの家に案内してもらえる日が来るなんて。

転校したばかりの頃の私よ、信じられないだろう。



「青葉くん、遠慮せず食べてってね!!」


「ありがとうございます!すごく美味しいです!」



お母さんもお父さんもいい人たちだ。

アッキーと顔はあまり似てないけど、でもここで育ったからアッキーはアッキーなんだろうなって。



「で、今日の怪我、大丈夫なの?」


「怪我?」


「腹に思いっきりボール食らったでしょ」


「あっ、ぜんぜん大丈夫!あんなの怪我のうちにも入らないから」



それにボールなら、最初の頃アッキーから顔面に食らってるから。

覚えてるかな。

あれ、ボール跡がついちゃったくらいなんだよ。



「それに腹パンチも…ごめん」


「あそこでアッキーがしてくれなかったら俺はもっとボール当てられてたよ。…だから、ありがとう」


「…お前そうやって自分で感覚麻痺させるのやめなよ。…女なんだし」



最後、小さな声で言ったアッキー。

もんじゃを焼く音で周りには聞こえていないようだけど、ギリギリ私には聞こえた。

というか、口の動きでわかった。



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