キミの世界で一番嫌いな人。
「…うん、まぁなんとか」
「あまり無理はしないこと。なにかあったらいつでも相談に乗るから」
「コーちゃん、もう“かーちゃん”でもいいんじゃない?」
「まったく、ふざけたことばっか言ってないで」
「わりと本気だよ?」
小さいときからお世話になっているこの女医のことを、ずっと私は“コーちゃん”と呼んでいた。
どうしてそんなあだ名をつけたのか、もう今では覚えてないけど。
彼女は実の母よりも母親だ。
実の母は私が生まれてすぐに天国へといってしまったがために尚更。
ある意味本当に、この人を母親のようにずっと思っていた。
「それより青葉、」
「ん?」
5月から私は父の転勤と共に、隣町の女子校へと転入が決まっていて。
本当は転校なんてしたくなかったけれど、昔から父の言葉は絶対。
そんななか、私は1つの提案を出した。
「髪もバッサリ切っちゃって。ずっと伸ばしてたんじゃないの?」
「まぁ…ね。けじめというか、覚悟というか」
「なぁにそれ」