キミの世界で一番嫌いな人。
外は雷が鳴ってるし、雨もさっきよりまたひどくなってきた。
ピロンと、画面が光る。
『そこでぜんぶ話して』
たったのそれだけ。
もう大体わかってた、そうなんだろうなって。
そんな今日、本当に先輩との別れが来てしまうなんて。
このときの私は思っていなかった。
「服、…サンキュ」
「あっ、サイズ…、大丈夫でしたか…?」
「あぁ」
私が用意した服を着ている先輩。
それは私が普段着ている、男物の服。
濡れた髪をフェイスタオルで拭きながら、リビングに姿を現した。
良かった…、普段から大きめのメンズ服を買っておいて。
こーいうときに正解だった。
「藤城さんって紅茶は砂糖少なめでしたよね」
キッチンから声をかけてみても返事はない。
アッキーは甘党だから砂糖多めだったけど、確か先輩は微糖だった気がする。
前回遊びに来てくれたときに知ったこと。
「藤城さん…?」
私の部屋に立つ彼は、机に置かれたひとつの写真を手にしていた。
ずっと見ていたのか、部屋へ向かってようやく気づいてくれた。