キミの世界で一番嫌いな人。




「…お前、やっぱり廣瀬が好きなんだろ」


「えっ、ちがいますよ…!」



どうしてそうなるの…?

先輩、前も聞いてきた。


好きっていうか、もちろん好きだけど。
でもそれは友達だからだ。

私の、…俺のたったひとりの親友だから。



「ならなんで着てんだよ。ワンピースくらい他に持ってんだろ」



あれ?怒ってる…?

面白くなさそうな顔をしているわりには、私に近づいてくる。



「毎回毎回、見るたびにその姿で腹立つ」



すると先輩は私の腕を掴んだ。

気づいたときには、どういうわけかベッドに押し倒されていて。



「わ…!藤城さん…っ」



そのまま覆い被さってきた。

これも2回目だ。
前は公園のベンチにて。


あのとき先輩は私の首に手を伸ばして、絞めるように優しく力を加えていたのに。


今はどうしてかお互いの指を絡めるように繋がれている。



「…お前のことは嫌いだ。……大嫌いだ、」



少し濡れた髪から、同じシャンプーの匂い。


うん、わかってるよ。

そんなこと私がいちばん分かってるんです、先輩。



「でも、お前の心臓は俺のでもあるんだよ。…他の男を見てんじゃねぇよ」


「……ご、ごめん…なさい、」



すると先輩は何かを決心したように、熱い目をして私を捕らえてきた。



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