キミの世界で一番嫌いな人。
episode.3
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目が覚めたとき、変わらない点滴の感覚とベッドの匂い。
そんなものはもう慣れたものだった。
ただ、心臓のドクドクという音は、その日はしっかり耳に入ってくるところが違っていて。
『ねぇコーちゃん。どうして私の心臓は急に治っちゃったの?』
ずっとしたかったことが、できるようになった。
走っちゃだめと言われていたのに。
逆に今は走る練習をしようか、なんて。
おかしいと思った。
手術をして治せるのなら、どうして今まで治らなかったのって。
『…ヒーローが青葉に命を吹き込んでくれたのよ』
『ヒーロー?』
『…そう。とても優しい、勇気ある少年』
ヒーローは少年なの…?
そんな疑問を少女は抱いた。
『…可哀想に。その子の意思は聞いてないんですって』
『ええ、だって11歳でしょう?さすがにその権利はあるんじゃないかしら』
『…親同士が勝手に決めたって噂よ』