キミの世界で一番嫌いな人。
そんなひそひそ話と、手術台に乗っていた少年がぴったりリンクしてしまって。
少女は走れるようになった身体で主治医の元へ向かった。
他の患者を診察していたとしてもお構い無し。
『こらっ!青葉!!』
と、母親のように叱られるのが逆に嬉しかったりもする。
そんな母のような女医の服を掴んで、必死に聞き出した。
『私に命を吹き込んでくれた人は誰なの…!?意思はなかったの!?ねぇコーちゃん!!教えてよ…!!』
だって今まで1人だって現れなかったのに。
色々おかしいから。
無理やり、もし私に命を吹き込んでくれたとしたならば。
私からすれば紛れもなくヒーローだ。
こうして走れるようにしてくれたんだから。
でも、その子からしたら───…?
『私のせいでその子は死んじゃったの…!?』
『…生きてるわ、その子は生きてる』
『ならどこにいるの…!?私、お礼を言わなきゃ…っ!』
それでもコーちゃんは首を横に振るだけ。