キミの世界で一番嫌いな人。
新しい生活
新幹線は意外と混み合っていて、指定席にしてよかったとため息。
窓から見える山々。
景色はだんだんと変わってゆく。
「お嬢ちゃん、ひとりでお出かけかい?」
「…いえ。祖母の家に行くんです」
雪が多くなっていく山。
空がずいぶんと高く見えるのは、田舎だからこそ。
「おばーちゃんっ!」
「あら随分と早かったわね青───ちょっとあなた髪の毛どうしたの…!」
「切ったの!」
周りはビルなんてない。
車で移動しなければ、お店の並ぶ町まで行けない。
そんな、田舎。
「もうトラック来ちゃった?」
「まだこれからよ。とりあえずお昼ごはん作ってあるから食べなさい」
「ありがとうおばあちゃん!お腹ペコペコだったんだ~!」
平屋のお家。
内装はリフォームされているから現代チックだった。
昔はそれでも田舎だからか、泊まりにくる度に少し怖かったけど。
今は空気の美味しい、広大な山々の広がる綺麗な町だと思える。
「東京から来ました、小鳥遊 青葉です。よろしくお願いします」