キミの世界で一番嫌いな人。
田舎だから転校生は珍しいらしく。
新しいクラスメイトたちはキラキラと目を輝かせて、私にたくさんの質問をなげかけた。
スカート長めのセーラー服。
それを折り曲げて短くしている女子生徒がほとんどだったけど、私は逆に新鮮だったからそのままにした。
周りは日焼けしている小麦肌の生徒たち。
白い肌の私は、かなり目立つ。
「ねえ青葉ちゃん、東京ってやっぱりカラオケとかあるの!?」
「カフェとかたくさんあるんでしょ!?」
「いいなあ!放課後デートとか憧れる~!!」
確かにたくさんあるけど…。
なんていうか、あそこは色んな意味で濃い高校だったから。
……男だったなんて、口が裂けても言えない。
「青葉ーー!雪合戦しよーーー!」
「うわっ!ちょっと凛!顔はナシだろ!」
「あははっ!顔面キャッチ~!てか“だろ”って何よ~!男じゃないんだから!」
「……そう…、だった」
3学期から私は湊川から姿を消した。
父とも離れて、女の子として母方の祖母の田舎で暮らし始めた。