キミの世界で一番嫌いな人。
先輩にもアッキーにも何も言うことなく、転校をした。
最低だとはわかってる。
でも、これが一番いいんだ。
最初から居なかった存在に、そして思い出は綺麗なまま。
ごめんね、…アッキー。
「凛、また男子と喧嘩したって本当?」
「だってあいつらが男みたいってバカにするから。だったら男みたいな女に負ける気分はどーよって!」
「…すごいなぁ凛は」
山崎 凛(やまざき りん)は、転校してから一番の友達になった子だった。
男勝りでポニーテールを揺らす女の子。
男にも負けじと、いつも喧嘩してるような子。
私なんかズル賢く逃げて、結局は助けられるオチだったのに。
「でも青葉は前の学校でナンバー2と親友だったんでしょ!?」
「…うん、まぁ」
「聞かせてよその話っ!」
アッキー、元気?
たぶん怒ってるよね。
うん……、ぜったい怒ってる。
いろいろ、いろいろごめんね。
でもアッキー、もう忘れてくれていいよ。
私が覚えていれさえすれば、それでいい。
「アッキーはね───…」
スマホの写真フォルダには、修学旅行のホテルにて並んで笑っている男がふたり。
そんな親友と撮った写真が、まだ入っていた。
*