キミの世界で一番嫌いな人。
秋斗side




「ねぇ、邪魔なんだけど」


「あっ、アキさんっ!?」


「邪魔だって言ってるだろ」



ドガッ───!!!

校門前に屯っている男たちを絨毯にして、俺は今日もスマホを開く。


“チビ”


そう表示された画面を見ては閉じる毎日。

冬休み明け、どうにも連絡すら繋がらないし学校にも来ないし。

おかしいと思って教師に聞き出せば。



『小鳥遊、実は引っ越したんだ。…急な家庭の事情だったから誰にも言わないで欲しいって頼まれててな』



お前のことだから、あけおめメールが年明け早々くると思ってたよ。

どうやら期待してた俺が馬鹿だったらしい。



「…どーも。藤城サン」



あれからこの人も屋上にいることは少なくなっていた。

まぁ3年だし、卒業だし。

いろいろ忙しいんだろうなとは思ってたけど。



「…卒業式のあと、時間作ってくれない?」



久しぶりにすれ違った男は、とても冷たい目をしていた。

あぁ、なんか噂で。
また少し荒っぽくなってるんだっけ。

でもそれは俺もだよ。



「断る」


「…なら今ここでいいけど」



ヒュ───ッ!!


目の前の顔面へ、拳を突き出す。

そしてギリギリで止める。



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