キミの世界で一番嫌いな人。
彼氏
「あんたどーいうことぉぉぉ!?!?」
「うわぁっ!えっ、凛どうしたの…っ!」
「あの超絶イケメンと付き合ってるって本当なの!?!?」
教室に入って早々、ガクガクと肩を揺らされる朝。
そんな剣幕は凄まじいものだった。
朝食べてきたおばあちゃんの卵焼きが戻ってしまいそう…。
「どこでそれを…」
「学校中ウワサだっての!!あんたが毎日毎日昼休みコソコソビデオ通話してるって!!!」
あれから私とアッキー…、いや、秋斗くんは。
どうやら彼氏彼女というものになってしまったらしく。
お昼休みはビデオ通話しようと言われたから、私も少し照れながら応える毎日を過ごしていた。
『どーもこんにちは。青葉ちゃんのカレシです』
「きゃぁぁぁぁ~~~!!!」
女子たちの声に、キィィィンと耳鳴りが響いた。
私の机を囲むクラスメイトの女の子。
教室のドアから覗く、他クラスや他学年の女子たち。
いや、そこからだと声しか聞こえないじゃん…。
確かに凛は大音量にしてるけどさ。
『うわ、すごい囲まれてる感じする。みんな青葉ちゃんのトモダチ?』
「「「そうで~~~~す!!!」」」
キャーキャー言ってる、とくに交流のない女子生徒たち。
男子も「かっけー!」なんて言っては、はしゃいでいる。
……恐るべし廣瀬 秋斗。