キミの世界で一番嫌いな人。
「廣瀬さんは身長は何センチなんですかぁー?」
「好きな食べ物はなんですか!?」
「音楽とか聞いたりします!?」
そんな質問攻めされても無理だって…。
おばあちゃん手作りのお弁当を食べながら、そんな光景を見てるだけの私。
『174、んー…もんじゃ焼き、音楽は浅く広く色々と』
そもそも私と話すためにこうして繋いでるのに。
まだ今日は「もしもし」しか言ってないよ、私…。
「あっ!ちょっとなにすんの青葉!!」
パシッと、女子たちの中心にあったスマホを奪う。
「私まだ何も喋ってないからっ!!」
逃げるように教室を出た。
繋がれた先では、その光景を画面越しに見ていた笑い声。
そんなものに少しだけ頬は緩んでしまう。
『大丈夫?』
「うんっ、大丈夫…!」
よし、ここまで来ればみんな来ない。
あまり人の通らない非常階段。
「秋斗くんはお昼なに食べてるの?」
『俺?俺はねー、ふつーに購買で買ったパン』
ほら、と言って画面に映ったメロンパン。
そこから覗く顔はとても嬉しそうに笑っていた。
「え、それ数量限定の!よく手に入ったね…!私いつも食べたかったけど売り切れててっ」
『あぁ、俺は物理的に手に入るから』