キミの世界で一番嫌いな人。
物理的……。
あぁ、そういうことか。
確かに彼はそういうお方だった。
『だったら青葉ちゃんの分もゲットしとくから、こっちに来る?』
「本当っ!?1回食べてみたかったんだ~!」
こんなこと、親友だったときは無かった。
お互いのお昼ごはんを取り合いしては、「殺すよ」なんて言われてたっけ…。
『…俺ってほんと、馬鹿だよね』
「え…?」
『あんなに近くに居たのに、こうして離れてから青葉ちゃんの可愛さに気づくなんてさ』
こういう台詞を簡単に言ってくるような人らしい。
静まりかえる空気をどうにか中和させなきゃ。
言葉に詰まった私を見て、画面越しの彼もどこかほんのりと頬が赤い。
「あっ、お弁当教室だった…」
『…今から戻る?』
「…ううん。また捕まっちゃうだろうからやめとく」
『うん、助かる。俺も青葉ちゃんと話したいし』
なんだろう…。
すっごく不思議な感じだ。
変にこそばゆくて、ドキドキする。
これが彼氏彼女ってやつ…?
『あ、照れてる?』
「そ、そんなことないから…!」
『顔見せて。からかってあげるから』
「なっ…!そーいうとこだよ本当に…!」