キミの世界で一番嫌いな人。




そんな数日後、私は新幹線に乗って東京へ向かった。

1ヶ月に1度の定期検診。


コーちゃんにも久しぶりに会って、いろんな話をして。

「頑張りなさいよ」と、母親のような言葉をもらって。



「わ、変わってない…」



でも、どこか違う場所にも見えた。


外壁にスプレーで書かれた“夜露死苦”の文字、ボロボロな窓ガラス。

盗んだバイクで走り出しそうな生徒たち。


やっぱり不良のたまり場だ…と、思う。



「こーんにちはっ!女の子がここに来るなんて珍しいね!」


「どうしたの?誰か待ってるの?」


「てか誰かに似てね?気のせい?」



校門付近に立っていれば、柄の悪い男子生徒に囲まれてしまった。


秋斗くんはもうそろそろ授業終わる時間だと思うんだけど…。

検診が思ったより早く終わってしまったから、まだちょっとだけ時間がある。



「き、気のせいです…!」



サッと、顔を伏せる。


私の身なりは秋斗くんからのワンピース。

ウィッグはつけていないから、ショートヘアの女の子だ。

それでも少し寂しいからと、片側サイドを三つ編みで編み込むようにした。



「うちの生徒の彼女とか?」


「わ、私は…」



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